プロローグ

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それからシュリアが意識を取り戻したのは、深夜になってからだった。 目を覚ますと、真っ暗な空が広がっていた。 体には毛布がかかっており、どうやら仰向けに寝かされていたらしい。 [誰が、どうして!?] シュリアは、いきなり体を起こした。 どうやらまだ起きて間もないため、記憶や意識がはっきりしていないらしい。 シュリアが辺りを見渡そうとした時、不意に横から声をかけられた。 「目を覚ましたか、元気そうだな…」 聞き覚えの無い声だった。 シュリアはびくっと反応して、一瞬で相手の方を見ると、焚火を挟んで少し離れたところに声の主はいた。 真っ暗であまりよくは見えないのだが、声の主は大きな木にもたれていた。 そして真っ暗な中、焚火を介して見えたのは、殺気に溢れた眼だった。 「ひっ!!!」 シュリアはその殺気に恐怖を感じ、一目散にその場から離れ、相手の制する声も聞かず深く暗い森の中に駆け出していった。
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