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いきなりだったため、魔法を使ったりかわしたりする暇などなかった。
[やられる…!]
恐怖に目を閉じた。
『ドゴン!』
ものすごい音がした。
が、シュリアに痛みはなかった。
「がはは、大丈夫か?」
「…え?」
突然声をかけられ、恐る恐る目を開けてみると、そこには一人の男がいた。
よくよく周りを見渡してみれば、少し離れたところに黒い物体、魔物がぴくぴくとけいれんをして倒れていた。
「あ、助けてくれてありがとうございます」
状況を理解し、御礼をいうと相手は、
「がはは、まあ気にするな」
と、いった。
豪快な人だなぁというのが、相手の第一印象だった。
「がはは、それでお前はここで何をしているんだ?」
シュリアは、自身が迷子であったのを思いだした。
「あ、実は道に迷ってしまって…」
シュリアは、この人なら何か知っているだろうと思ったのだが、
「がはは、お前も俺と同じか」
「え?」
相手の予想外の言葉に、ものすごい変な声で聞き返してしまった。
「がはは、まあ何とかなるだろ」
あっけらかんと答える相手に対して、シュリアは先程よりいっそう悲壮感に溢れていった…
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