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俺は死体を見た後は何も覚えていない、全力疾走で家に着くまで頭が真っ白だった。
体がどくどくと脈打ち、肺がはち切れそうだ。
手を膝につき、地面を見つめる。汗が頬を伝いコンクリートに染みを作った。
「はぁはぁ……」
家に行けば親父や亮がいるはず。きっとこの異常事態を説明してくれるはずだ。僅かに安心感が沸き上がる。
「……そんな!!」
俺の頭は再び真っ白になった。
顔を上げると俺の家が廃墟になっていたからだ。窓ガラスは殆んど割れ、本来家を守っているはずの門はねじったようなあり得ない形に壊れている。
信じられなかった。否、信じたくなかった。
「中に入ってみるか……」
もしかしたら誰かいるかもしれない。わずかな期待を胸に俺は覚悟を決めて足を踏み出そうとした。
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