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俺は見知らぬ部屋で目が覚めた。あの女性が運んでくれたのだろう。見渡すとそこは窓とベッドが一つずつあるだけのシンプルな部屋だった。
「夢……じゃないのか……」
かすれ声が脳に響く。よく分からないが涙が溢れてくる。我ながら情けないと思う。勝手に飛び出して、勝手に後悔して……。
「なさけねーな俺」
頬に涙が伝う。
悲しいと言うより不安や恐怖が強かった。
バァァンッ
大きな音が鳴り響いた
誰かがドアを思いっきり開けたらしい。大きな音だったせいか耳の鼓膜が痛い。
「大丈夫?」
さっきの女性だ。どうやら両手に鞄を持っていたため、蹴り開けたらしい。俺はあわてて涙を拭う。
「やっと起きたのね。急に倒れたから驚いたわ……貴方、ここの事をよく知らないの?」
俺はその問いに首を縦に振った。女性はやっぱりと呟くとこの世界の事を事細かに説明してくれた。
此処は俺の世界から数十年後の世界だそうだ。
前に大きな戦争があったらしく、此処の治安は荒れたそうだ。そして、今や此処は犯罪者の増加によって見放された無法地帯だそうだ。
殺人ゲーム・麻薬が出回る危険な場所。
これが現実なんだ。
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