455人が本棚に入れています
本棚に追加
手をひかれながら歩くと、俺がいた街と同じだとつくづく実感させられた。壊れた所があるが殆んど変わらない。
「何処に行くんだ?」
今さらだけど一応聞いてみる。
サナは前を向いたまま話し始めた。
「秘密基地。私の仲間がいるの……早く行かないとゲームに巻き込まれるわ」
サナが少し足を速める。
速めたと言っても男の俺にとってはそれほど速くない。
それより、よくヒールでそこまで速く歩けるなあと感心してしまった。
しばらくすると、ファミレスの前で足を止めた。
「ここ、ファミレス……だよな?」
自動ドアに近づいた瞬間、横からこめかみに冷たい物が当てられた。俺は驚き横を見ようとする。
「コッチヲ見ルナ」
「!?」
カタコトの日本語が聞こえたと同時にカチッという音がした。
もしかして銃?……この世界、銃刀法違反とかなさそうだし……。
青い顔をしていると、サナが此方に向き直った。
「その子は私の知人よ。手荒なまねはやめて」
「……ッチ」
この人舌打ちしたよ!
サナさんがいなかったら殺されてたよな……。
銃らしき物がおろされ、横を見ると黒いスーツを着て、右目の所に包帯をまいた男がいた。
俺の視線を感じ取ったのか男がこちらを見た。
「怪シイ行動ヲトッタラ殺ス」
左目で睨まれ、俺は身震いした。なんで俺ばっかり……!
最初のコメントを投稿しよう!