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「お父さん。遊ぼうよ」
ボールを持った小さな子供が父親らしき男に尋ねる。
すると男は呆れた表情で子供を見つめた。
「何を言っているんだ、お前はこれから家庭教師があるだろう?」
「はい……」
男は無情にもそれを拒否し、何処かへ行ってしまう。残ったのは子供の悲しげな顔だけ。
俺は母さんが死んでから親父とはこんな思いでしかない。
俺の名前は桜井嘉月。
ある財閥の長男。いわゆるお坊ちゃん。でも、お坊ちゃんで良かったなんて死んでも思わない。
勉強の繰り返し……そして親父への苛立ち……何もかも馬鹿馬鹿しくなった。そして俺は非行に走った。いわゆる不良だ。
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