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「何処に行く気だ、嘉月」
親父は出掛けようとする俺の腕を掴み呼び止めた。俺はその腕を力任せに振り払う。
「うっせー、アンタには関係ねーだろ……」
俺は冷たく言い放つ。
俺と親父との喧嘩は日常茶飯事。俺の髪の毛……金髪を見て親父がつっかかってきたり、夜遊びをして帰って来なかったりとか……数えたらきりがない。
はっきり言って余計なお世話なんだよ……。
「なんだその態度は! お前はこの会社の跡継ぎとなるべき人間なんだ、しっかりしろ!」
親父は俺に怒鳴り付けた。
口を開けば会社の事ばかり……そんなに会社が大切なのか?
きっと俺の事は厄介者か道具等にしか思ってないんだろ?
俺は冷ややかな視線を送った。
髪はオールバックで、いつもスーツを着ていて、ドが付くほどクソ真面目な親父に。
「そんなの弟の亮に継がせればいいだろ? あいつは俺と違って頭もいいし、要領もいい。ピッタリじゃないか」
俺はドアノブに手をかけ、親父と目を合わせないように家を出る。家を出た後も家から怒鳴り声が聞こえるがもう関係ない。
この家とも親父とも……だけど
「亮には悪いことしたな……」
俺は下の弟に責任を押し付けてしまった事に罪悪感を感じた。
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