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ギィ……と音をたてて扉が開く。だいぶ古いようだ……木製の扉はギシギシと軋み今にも壊れそうだ。開けると中は真っ暗だった。外はもう薄暗く光がない。
暗くて何も見えねー……俺、暗い所ダメなんだよな……。
今更になって入った事を軽く後悔したが、戻ろうとは思わなかった。手探りで一歩一歩進んでいく。その間も床はギシギシと鳴る。
ギシッ
横の方から床が軋む音が聞こえた。心臓と体が大きく跳ねる。
一体誰だ……?沈黙がしばらく続き声が聞こえてきた。
「こんばんは」
低めの声が木霊する
しかしビックリした……。
ゆ、幽霊じゃないよな……? 教会の人だよな?
未だに姿は見えない。まだ落ち着かない心臓の音が脳に響く。
もしかしたら親父の部下じゃ……。
そんな考えが横切る。
いつでも逃げれるようかまえた。
そんな俺に気付いたのか男は
「そんなに警戒しないでくださいよ」
と言った。
ロウソクをつけたらしく顔が浮かび上がった。
老人だ。髪が真っ白で髪を後ろに流している。
「教会の人……ですよね? あの、俺っ……」
理由を言おうとした瞬間、神父さんに口を挟まれた。
「私はこの教会の神父ですよ……何かわけありのようですね。良かったら休んでいきなさい」
「どうも……」
いや、よく考えたらこんな優しい老人を親父は雇わない。
やはり神父さんだろう。
今日は此処で休もう。
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