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第1話 異世界へ
私、宏澤怜梨(ヒロサワレイリ)。
私は今日、私立桐恵聖(トウケイヒジリ)学園高等部に入学することになった。
元男子校って肩書きがあるけど、仕方ない。
私はある理由からそこに通おうと決意して特待生制度を使って入学するんだから。
「お母さん。私もう行くね」
「ごめんね、怜梨。お母さんもお父さんも入学式に行けなくて」
「いいよ。仕事でしょ?仕方ないじゃん。それに小学生や中学生じゃないんだから」
「そう?でも見たかったわ」
「いいから!じゃあ私行くね。遅刻しちゃう」
「ええ、気をつけてね」
「いってきま~す」
私は学校へと走り出す。
徒歩圏内なのはこう言うときに不便なのかも知れない、とか考えながら走っていく。
元男子校に通うと言い出したとき、両親はけっこう反対していた。
それもそうだろう。共学になったからといって直ぐに女子が沢山入るとは限らないし、上のふた学年は全員男子なのだ。
かなりの覚悟と度胸が必要。
しかし、私にはそんなことどうだっていい。
周りにちょっと男子が多くなるだけだと考えれば耐えられないことはない。
すぐになれるだろう。
そんな甘い考えをしていた私には、これから起きる信じられない事態を、予想することすら出来なかった―――。
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