第1話 異世界へ

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「そんなに驚かなくてもいいだろ?」 振り向いたそこには黒髪を短く切り、体つきのいい顔の整った男が立っていた。 「い、いきなり声かけないでよ!」 怜梨は驚きと教室内の光景への混乱で喧嘩口調になってしまった。 「は?いきなりじゃなくてどうやって声かけんだよ」 「やり方の問題よ!」 「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ。それよりそこ、退いてくんねぇ?俺もこのクラスなもんで」 「え?ああ、ごめん」 怜梨は潔くドアの前を退く。 「お前は入んねぇの?」 「………こんな異世界に入れって言うの?」 男から視線を逸らし、吐き捨てるように言った。 「あ~。これは仕方ねぇって。あいつら、中等部にいたときからああだからな」 「中等部にいたときから!?ん?…………ここって、中等部なんかあったっけ?」 「お前………志望したんならそれくらい知っとけよ」 「しっ、仕方ないでしょ。近くで特待生制度がある学校ってここしかなかったんだから」 それを聞くと男は怜梨をしっかりと見始めた。 「へぇ~。アンタが噂の特待生か」 「それが何よ。あんまりじろじろ見ないでくれる?不愉快だわ」 「悪ぃ悪ぃ。特待生なんて初めて見たからな。珍しくてよ」 「珍しいからって他人をじろじろ見ないでよ。迷惑だし不愉快だわ」 「でも、これからもっと見られると思うぜ?」 「は?」 怜梨が男に視線を合わせようとすると。 「ハルー!」
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