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「そんなに驚かなくてもいいだろ?」
振り向いたそこには黒髪を短く切り、体つきのいい顔の整った男が立っていた。
「い、いきなり声かけないでよ!」
怜梨は驚きと教室内の光景への混乱で喧嘩口調になってしまった。
「は?いきなりじゃなくてどうやって声かけんだよ」
「やり方の問題よ!」
「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ。それよりそこ、退いてくんねぇ?俺もこのクラスなもんで」
「え?ああ、ごめん」
怜梨は潔くドアの前を退く。
「お前は入んねぇの?」
「………こんな異世界に入れって言うの?」
男から視線を逸らし、吐き捨てるように言った。
「あ~。これは仕方ねぇって。あいつら、中等部にいたときからああだからな」
「中等部にいたときから!?ん?…………ここって、中等部なんかあったっけ?」
「お前………志望したんならそれくらい知っとけよ」
「しっ、仕方ないでしょ。近くで特待生制度がある学校ってここしかなかったんだから」
それを聞くと男は怜梨をしっかりと見始めた。
「へぇ~。アンタが噂の特待生か」
「それが何よ。あんまりじろじろ見ないでくれる?不愉快だわ」
「悪ぃ悪ぃ。特待生なんて初めて見たからな。珍しくてよ」
「珍しいからって他人をじろじろ見ないでよ。迷惑だし不愉快だわ」
「でも、これからもっと見られると思うぜ?」
「は?」
怜梨が男に視線を合わせようとすると。
「ハルー!」
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