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お嬢様をお送りし、お屋敷へ戻った私はローレン様に報告する為、執事長室へ向かう。
「入ります!」
私が執事長室に入ると─
「おや?ノーボル、お疲れ様でした・・・」
窓を眺めるローレン様はこちらを向いた。
このお方、ローレン様こと、旦那様の最も信任厚き執事であらせられる『ローレン=ガルト』様であります!
「お嬢様はどうでしたか?」
ローレン様は私に問う。
「はい、最近は文句も言わずに登校しておいでであります」
「そうですか!それはさぞ旦那様もお喜びになるでしょう!」
嬉しそうなローレン様!
「ええ、お嬢様には今の状態を維持または向上させてもらいましょう」
私が提案すると─
「よろしく頼みますよノーボル!」
ローレン様は目をキラキラとされながら期待する!
私はそんなローレン様を見て─
「そ、そんなにご期待をされましても・・・」
と、苦笑いでお答えしました・・
その後、用件を終えた私は─
「それでは用件終わり!戻ります!」
一礼して執事長室を後にした・・
次にお嬢様をお迎えに上がるまで自由時間の私は、居室に戻る途中ふと思った・・・
この間の事件で私は瀕死の重傷を負い、ロクに体を動かしていない・・・
しかも女性陣による過度の食事介護での体たらく・・・
いても立っていられなくなった私はそのまま中庭に出て、剣術の鍛錬をする事にした!
まずはおもむろに抜刀!
と、同時に抜き打ち様の袈裟掛け!
そして中段の構えをとって気迫を込めつつ─
「ふんっ!」
一歩前へ出ながら気力を充実させる!
次に振りかぶったその時─
「ノぉ~ボルさ~ん♪」
フリージアさんの何とも甘い声がする!
その声を聞いた私は─
「ふぁあぁ・・・」
一気に気合いが抜けた・・・
まるで風船の空気が抜けるが如く・・・
「こんなんでは鍛錬になりませんよ・・・」
独り呟きながら納刀する私・・・
するとそこへフリージアさんが来られ─
「ノーボルさん、良かったらお茶にしませんか?クッキー焼いたんです☆」
ニコニコと楽しげに言われた・・
「あ、ありがとうございます」
結局私はフリージアさんについて行く事にした。
中庭を出て外柵沿い回り、反対側のお庭に行くと─
「あら、ノーボルさん」
既にメリッサさんが準備しておられた。
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