優美な不幸

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  「今更だね。それにこんなに人気のない場所でいくら人を殺そうと誰も見てないと思うけど。それに、君の賞金額はこれ以上塗り替えられることはないんじゃないかな」  ……正論すぎる……。  確かにこんなところで何人人を殺そうがバレねぇ気がする……。  賞金に関してもそうだよな……今更ここで六人を殺したところで、賞金首の額が上がるとも思えない。  うーん……余計な言い訳なんてするんじゃなかった……やっぱりこのお嬢様に口で勝とうってのが無謀なことだよな……。  諦めて口を噤み、黙々と作業に徹する。  五つ目の財布に入っていた紙幣を全て取り出した。  それにしても、これでようやく生活費が手に入ったな。  六人分の所持金を集めて……だいたい千ユーロぐらいだろうか……。  一ヶ月は苦労しなくてすみそうだ。  五つ目の財布を地面に落として、手元に残った財布は武器の類と同じくジャンパーの内ポケットへと収納。  目の端に自身の黒髪を捉えつつ踵を返す。  一日も歩けば街へ出るだろう。  少なくとも二日あれば大丈夫。  こんなにも深い森の中、食べ物に苦労することもなかろう。 「じゃ、行くか」  
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