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気絶した六人の男を周囲に立ち尽くしていると、前方の茂みががさがさと音を立てた。
少し視線を上げると、茂みの中から黒猫が出てきた。
「終わったの?」
その問いかけにはかなり省略されてるとこがあるけど……まぁ状況的にこの六人を気絶させ終えたのか、ってことだろうな。
「見ての通りだけど」
浅く頷いてそう返すと、猫は深緑の目を辺りに巡らせる。
「そう」
短くそう返して、リートお嬢様は足音もなくこちらへ歩んできた。
適度な距離まで近づいてきたかと思うと、猫は一瞬の内に跳躍する。
右肩にリートの重みと温かさを感じる。
「生活費はもらった?」
くるくると喉を鳴らしながらリートはそう尋ねてきた。
……やっぱもらわないと駄目ですか。
リートには返事をせず、とりあえず近くに転がっている男に近づく。
湿った土に服がつかないように気をつけながらしゃがみこむ。
まずは片手に持ったままのナイフを片付けようと、男の着ている迷彩柄の服を拝借。
血まみれになってしまったナイフの刃を拭う。
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