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一応はきれいになったように見えるナイフをシースに戻してジャンパーの内ポケットへしまいこむ。
リートを肩の上にのせたまま、男の服を探る。
探すのは、いわゆる金目のもの……というか直接的に言うならば、外出時の人間ならば誰もが持っているであろう、財布なんだけど。
腕時計とか指輪とか……そうゆう間接的に金目のものを貰っても換金が面倒なので最初から狙わないことにしておく。
肩の上の猫の監視を受けつつ、六人分の財布を頂戴する。
これはさほど面倒な作業ではない。
ポケットの中に手を突っ込めばたいてい一発で目当てのものは見つかるから。
気絶したままの男たちの財布を全て取り出し終えると、次の作業に取り掛かる。
財布の中身は欲しいけど、財布そのものは六つもいらない。
所持していて一番邪魔にならなさそうなデザインのものを選んで、そこに収穫したものを全て集めなければならないのだ。
「ねぇレイン」
退屈そうな声色で、リートはオレの名前を呼ぶ。
「なに?」
空っぽになった財布を一つ、湿った地面に落としながら尋ねる。
リートは微かに首を傾げた。
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