優美な不幸

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  「どうしてこの人たち、殺さなかったの?」  ああ……そのことか。  紙幣の束を指先に挟みつつ、その問いに答えてやる。 「……こんな密林の中でこいつらこのまま放っておけば獣に食い殺されるだろ。わざわざオレがここで即死させるより、生きたまま食い殺されるほうがえぐそうだったから」 「……あ、そ」  あう……なんだか愛想つかされたような返事をされてしまった……。  確かに人道的に考えれば今オレが言ったことはけっこう異常かもしんないけど……この密林に住む動物のためにはなっただろうに……。  人殺しじゃなくって、密猟者の排除をしたのだと考えていただきたい。  リートだって一応動物なんだし……猫だから密猟者とかそんなに関係ないかもしんないけど。  相変わらず暇そうに喉を鳴らし続けるリートに、ちょっとだけ言い訳してみることにする。 「これ以上無駄な殺人すべきじゃないと思うんだよ……」  ため息混じりにそう言うと、リートは気だるそうに答える。  
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