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結局彼は私を可絵と勘違いし私はカズを想うことを半ば諦めていた。 しばらくすると、父の勤務する病院にカズが現れまだ可絵だって思ってたから自分の名前を言ってやった。 従姉妹だって言ったらホントに驚いていた。 しかしカズは私に向かってこう言った。 「何百人、何万人の中にいてもさがしてみせる」って。 私の居場所が見つかった気がした。 この人を信じてみようと思った。 涙があふれてその日はなかなか眠れなかった。 いつまでもカズの言葉が頭に響いていた。 カズは主演ドラマに大忙しでそれからしばらく現れなくなり、気持ちも折れかけていた。 「磯永玲さんですね」 私が父に用事があってそれを済まして病院から出るとスーツ姿の物腰柔らかい男が私に話し掛けてきた。 「あなたは?」 そういうと、その男は一枚の名刺を私に差し出した。 「マネージャーさん?」 名刺には葉月守(はづきまもる)と名前があった。 「はい。カズさんはあなたにお会いしたく思っています。強制ではないのですがあなたさえよければカズさんに会っていただけませんか?」 そう言って日時を指定してきて気が向いたらお越しくださいと言い去っていった。 私はかなり迷っていた。 会いたい…。 でも傷つくのは嫌。 期日まで数日間。 私は行くべきか悩んでいた。
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