制服を着た男の子。

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彼女の名前は蘭。 18歳の高校3年生。 毎朝立ち寄るコンビニでその男の子を見かけたのはもう一年前。 前髪が目にかかる程に長く、いつも無表情で大量のお菓子を買い、雑誌を読んで店を出る。 髪のせいで顔はしっかり見えないが、透き通る様な白い肌に長そうな睫。 体型はすらっとしているが若干猫背。 時々、店を出るとスキップなんてしていたり。 お茶目。 毎日、そんな彼を観察していた。 三年生に進級した時の事だった。 彼と同じクラスになったのだ。 気付かなかったが彼はどうやら同級生だった様で、クラスの中では…はっきり言ってういていた。 根暗そうな独特の雰囲気。 我が道を行く自由人。 極めつけはお菓子しか食べない。 彼を見ているうちにだんだんと目が離せなくなった。 話してみたい。 彼の世界に入りたい。 気が付くと、彼の読む雑誌を手に三十分も待ち伏せする日々が始まった。 それは半年以上に及び、ついに会話をしたのだ。 何故私が彼の見たい占いの結果が解ったのか? そんなの、毎日ここで変えられるゴムの色を観察していればすぐに解った。 彼がお菓子の中でもチョコレートを好んで食べる事も。 しかもホワイトチョコがお気に入りだと言う事も。 おまけのついたスナック菓子を毎日一つ買って行くと言う事も。 ガムが嫌いな事も。 すぐに解った。 気が付けば常に目線は彼にあったのだから。 彼に触れたい。 あの白い肌に触れたい。 金色の髪も長い睫も。 触りたい。 私は…彼が好きなんだ………。
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