僕ってこういう人間です。

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翌日、彼の姿はガラリと変わった。 黒くてサラサラだった髪は見事に金色に。 色白の彼の肌によく映える色。 長かった前髪はピンク色のゴムでちょんまげにされている 。 生まれて初めて脱色しました。 耳には綺麗なピアスが左に2つ。 昨日開けたばっかで非常に痛いです。 ネクタイは緑を基調にしたストライプ柄だったはずが、園児に人気の有名なキャラクターをモチーフにした派手なピンク色。 それを緩めに締めている。 意外と気に入っていたりする。 制服のズボンのお尻にはこれまた人気キャラクターのアップリケ。 意外と大きい。 後ろから見ないと気づかれない事には後になって気づき、がっかりした。 しかしここまで来るうちに、何人かの人が彼の後ろでクスクス笑っていたのを彼は知らない。 コンビニでいつもの様にお菓子を買い込み、占いを見るとラッキーカラーはピンク。 正に絶好調。 しかし彼はそれが顔には出ない。 本当は過去稀に見る程のハイテンション。 鼻歌なんか歌っちゃったり。 勿論、無表情。 曲名は「ぞうのはなちゃん」 勿論自作。 気分が良いのでピンク色のサングラスも購入。 勿論すぐ使用。 駅ではかなりの不審人物。みんなの視線を一心に集めていた。 彼はそんなのお構いなしだが。 …と言うより気づかない。 学校に着くとみんなは知らない人を見る様な目で彼を見た。 いや、実際一瞬知らない人だと思った。 手にぶら下げられたビニール袋のお菓子を見るまでは。 「…まっ、まさかね」 「そんなわけないよね…?」 「でも…あの袋…」 翌日にはそのビニール袋は可愛いクマの絵が書かれた黄色い手提げになった。 地球に優しいマイバック。 教室に入るなりみんなの注目の的。 そして彼は気づかない。 一斉にヒソヒソとした話し声がする。 女子は彼に釘付け。 男子は呆然とそれを見つめる。 その日から僕に話かけてくる人が出来た。 会話こそしないが。 男女問わず人気者になったらしい。 彼等は鑑賞用から情報源になった。 彼等の話からはいろいろな事を学習?したから。 食べる事がない学食のメニューが変わる事、担任が実はヅラだった事。 そして最も驚いたのは…自分が本当は三年生だった事。 進級していたみたいです。 そうです、僕は3月生まれでした。
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