妖怪と少年

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 「がんばり入道信勝」が戦国武将でないことについては、もういいだろう  次に考えられるのが、昔話や童話であろう  これはありそうだった  可能性としては最も高い  「がんばり入道」という言葉の響きから、あの名作「泣いた赤鬼」に通じる何かが私には感じられた  勘違いだったんですけろね~  そんな事は当時の私にわかるはずもなく、ありもしない名作「がんばり入道」のストーリーが何故だか浮かんで来た 『がんばり入道』  『ある山奥にがんばり入道なる妖怪が住んでいた  妖怪ではあるが人間が大好きな変わった妖怪だった  朝から山の天辺にある大きな一本杉によじ登り、麓にある村の様子を  「オォ、留吉が鎌で足を切っちまったァ、夜中に薬草を届けてやろうのォ」  だの  「オォ、タロ作がまたコケたァ、あやつは慌て者でいかんのォ、いつか大怪我をするかもしれんのォ、後で騒ぎ虫がついとらんか、見てやるかのォ」   だの  「オォ、イネ婆さんの田んぼは、まだ刈り取りが終わっとらんのォ、よお~し、かまいたちに頼んでザクザクと刈ってもらうかのォ」  だの言いながら、ニコニコとして日暮れまで眺めては、決まって最後に、 「今日も忙しいのォ、がんばるぞのォ」』  如何だろうか  あながち無いとも言い切れない、このストーリー・テリング  いや、無い  だってさっき書いたじゃんよ  名前きいて頭に浮かんだって  だから無いの  ていうか、あったらビビりチ○コなんだけど  「がんばり入道」に似た妖怪はいるかもしれんな  まあ、この話に出てくる「がんばり入道」はオレの「がんばり入道」だから、関係ないけろね~  ちなみに「がんばり入道」は、私の処女作である(いやん  かれこれ30年近く前にはなるのだが  別にそんなこと教えなくてもよかったって話か、ん?  うっせえ、バ~カ  おまえの親父と寝るぞッ
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