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アベル「ここだよ…」
部屋番号のところに〔特〕と書いてある。
エレナ「お邪魔しま~す………広っ!」
エレナは部屋を見て驚いた。
通常の部屋のザッと3倍はある。
アベル「そこらへん座って何か飲み物持ってくるから………」
アベルは台所に向かった。
アベル(なんか変な感じだな)
冷蔵庫にあったカフェオレをコップに入れて持って行った。
アベル「ハイ、どうぞ」
アベル「広いだろ?」
エレナ「ていうか広すぎ。」
アベル「それより、話って何?」
エレナ「私さ、家族いないんだ………」
アベルはエレナを見た………
エレナ「まだ帝国が統一する前…………
お父さんとお母さん、帝国には邪魔だったみたい………
殺されちゃったんだ。
髪が真っ黒で灰色の瞳の男の子に………」
アベル「……………」
アベルはただ黙って聞いていた。
エレナ「あんな私と同じくらいだった子が人を殺している時代だったのよね、あの時は…………」
アベル「その子が憎いか?」
エレナ「憎く無いって言ったら嘘だけど、仕方ないと思うんだぁ。
上官の命令は絶対で歯向かうと殺されちゃうもん。」
エレナはカフェオレを見つめている。
どこか横顔が悲しげに見えた。
アベル「それだけじゃねぇよ…………」
そう、それだけじゃなかったんだ。
俺はあの時に全てを失ったんだ。
エレナ「どういうこと?」
アベル「イヤ、何でもない。」
アベル「君は誰かと遊びに行ったりしないのかい?」
夏休みになってもずっと自分に寄ってくるエレナに疑問が生まれた。
エレナ「皆、私を特別扱いするから………
成績が良いっていうのも考えものよね。
いつも壁ができちゃうの…
だから、実力があまり変わらない子をいつも探してる。
君みたいな人を………」
アベル「俺は君みたいに強くないよ。
まだ君にも話していないこともある。」
エレナ「それでもいい………今の居場所は君の隣なの………」
エレナはニコッと笑った。
トントン……
ドアが鳴った。
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