第三章:剣魔

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その頃エレナは一人で部屋にいた。 アベルにたいして怒ったり、悲しんでいるわけではない。 ただ、心にスッポリ穴が開いたような気がしているだけ……… エレナ「ハァ………どうしちゃったんだろ?私…………」 エレナはその勢いでベットに横になった。 トントン……… 誰かが訪ねてきた。 まさか………… ガチャ……… 訪ねてきたのはエレナが思ったとおりの人物……… アベル「エレナ………」 エレナは思わずドアを閉めようとした。 アベル「ゴメン!」 アベルは大声で叫んだ。 ドアを閉めるエレナの手は止まった。 アベル「お前にはどんだけ謝っても許してもらえないのは分かってる……… けど、これだけは言っておきたいんだ。 ゴメン!本当に悪かった………」 アベルは深々と頭を下げた。 エレナは目を丸くしたまま立ち尽くしている。 そして、クスクスと笑い出した。 それを不思議そうにアベルは見ている。 エレナ「フフフ………い・い・よ」 アベル「へ?」 エレナ「前にも言ったでしょ?仕方のないことだと思ってるって…………… そんなこと言ってたけど私はそんな強い人間じゃないから……… 謝罪があれば許そうって……… そう思ってたの。」 ニコッといつもの笑顔をアベルに見せてくれた。 アベル「本当に悪かった………」 ベシっ エレナが軽く小突くぐらいの力でアベルの顔面を殴った。 エレナ「もうそれ以上は謝らないでぇ。」 アベル「あ、ああ。ありがとう。」 エレナ「その代わり…………剣術ちゃんと教えてよね。」 アベル「も、もちろん。」 エレナ「よろしい。では、また今までどおり私はアナタの横を居場所とさせていただきます。」 またニコッと笑いアベルの腕にしがみついた。
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