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エレナ「そう言えば今の髪の色茶色よね?黒から染めたの?」
アベルの長めの髪を触るエレナ。
アベル「うん。髪の色が変わればそう簡単に顔はバレないからな。」
エレナ「ふ~ん………………それにしても男にしてはサラサラな髪してるわね。」
依然としてアベルの髪をいじるエレナ。
アベル「クセなんだよ…………」
エレナ「クセ?」
アベル「返り血を落とすために丁寧に髪を洗ってたんだ…………
今も丁寧に洗わないと落ち着かなくてさ。」
アベルの横顔がどこか寂しげに見えた。
エレナ「色々大変なんだね。昔も今も………」
アベル「そうだな。あの時はまた戦争が起こるなんて思っていなかったし。
卒業すればまたこの手を血に染めることになるんだ。
しかも、今回は俺だけじゃない………
君や……他の皆も………
止めれるのなら止めたいよ…………」
ひどく深刻な顔のアベルをエレナは黙ってみていた…………
アベル「あ"!」
突然立ち上がったアベル。
エレナ「どうしたの?」
アベル「飯だ!」
アベルはタンスの上にある時計を指さした。
エレナ「あ"!」
アベルと同じような声を出してエレナも立ち上がった。
アベル「バルザックのせいで昼飯食えなかったもんなぁ。そろそろ腹が鳴る…………」
グゥーー………
アベル「もしかして………」
顔を真っ赤に染めてうつ向くエレナ。
そんな彼女を見てクスクスと微笑がもれた。
アベル「正直な腹だな。」
エレナ「は、早く行こう!皆待ってるわ!」
エレナは顔を真っ赤にしたまま部屋を出た。
アベル「ただ腹が減ってるだけなんじゃ……………」
エレナ「あ"?なんか言った?」
アベル「い!いえ!何でもありません…」
アベルはエレナの後ろを怯えながらついていった。
食堂には皆が揃っており楽しく会話しながら食事をとった。
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