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二人は演習場の前までやってきた。
ラウルはまだぶつぶつと何か言っている。
アベル「ほら!入ろう。」
ラウル「で、でもぉ……」
アベル「ドア開けたらいきなり攻撃してくるって言ってただろ?
しっかりしないと殺されるぞ。」
半ば強制的にラウルは首を縦に振った。
アベル「よし!んじゃ入ろう。」
ガチャ………
アベルはゆっくりドアを開けた。
それと同時にラウルは身構えた。
先生「来たか……」
予想とは違い、先生は床にどっしりと座り込んで攻撃してくる気配すらなかった。
ラウル「あ、あれ?」
しっかりと身構えていたラウルは緊張を切らした。
先生「心配するな。バスターとは戦わないよ。お前以外の実力は分かった………
お前の明日からのパートナーはもう決まっている。
お前には違う目的で来てもらったんだ。」
ゆっくりと先生は立ち上がり二人の元に歩みよってきた。
そしてアベルをジッと見つめて言った。
先生「剣魔になって私と戦え………」
アベル「!?」
ラウル「ど、どうして………」
いくら統一戦争を駆け抜けた戦士[破王]のミルファ先生でも、裏で統一戦争を誰にも悟られずに支えたアベル相手に力をセーブして戦うことなどできるはずがない。
しかも、殺人マシン剣魔になれば己の意思で止めることもできない。
アベル「だ、ダメです。いくら先生でも危険すぎます。
突然どうしたんですか!」
アベルは焦りを隠すことができない。
剣魔の力でまた人を殺してしまったら今度は立ち直る自信がない。
先生「剣魔の力がどのくらいのものなのかを見るだけだ。」
アベル「剣魔の力は俺の力で止めることができません。もしものことがあったら………」
アベルの言葉を遮るように先生は二本の小型注射器を出した。
先生「これは剣魔の力を止める鎮静剤だ。
これをお前にうてば剣魔の力は強制的に治まる。
これを私とバスターが一つずつ持ち、危険を感じたら使う。」
ラウル「俺もっすか?」
ラウルは注射器を手に取った。
先生「ああ、頼むぞ。」
先生はラウルの肩に手を乗せた。
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