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煌々と冷たく赤い――血のような光を放つ月が全てを照らす。
霧が何かを掴もうとする夜に。
私は走っていた。
ザザザッ
足がひどく重くて持ち上がらない故に、引きずるような音が響いている。
荒い息が白く模様を描いた。
「はぁっ、はぁっ。ぜぇ……」
頼るモノも無い孤独な時――。
草も風も空も土も、私を追ってくる。
カゲが私を追っているのだ。
逃れる術は無いのだ、と。
わかっていた。
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