#2 呪転

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  食卓に付いて母に手を振ると、 「おはよう。…まったく、お寝坊さんねぇ」 楽しげではあるが、叱られた。 この母を持ててよかったと最近思う。 ふ、と違和感を感じた。 「いただきます」と言ってご飯をかき込むも、何かがおかしい。 何か――と首を傾げ、柔らかく炊けた白米を見つめる。 そして気付いた。 何故気付けなかったのか。 「……ねぇ、母さん?今日おかしくない?」 「え?別に何にもおかしくないわよ?」 「……。そっかぁ…」 どうやら母に変わったことは無いらしい。こんなにも違うのに。 ――空気が赤いのに! 目をいくら擦っても意味がない。 母が気付かなかったということは、充血もしていないだろう。 (神サマ…こんなサービス要らないよ…) 呆れた気持ちで、そう思った。  
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