#2 呪転

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  納得がいかないのかフクザツな表情の母は、あまり訊かないでいようという結論に達したらしい。 少し母に感謝。 何やかやと訊かれるのは好きじゃない。 「…今日も公園に行くの?」 話題が変わる。 あたしは笑顔で答えた。 「うんっ!五時までには帰ってくるよ」 「そう、気をつけなさいね?」 「ん~…うん、わかってますって♪」 「…心配ねぇ」 子どもを良くわかってる親に、心配されてしまった。 余計なお世話だけれど。 「ちゃんと時間は守るのよ?あと、雨が降るかもしれないから、気をつけなさい」 此処までくると、お節介。 あたしは苦笑して立ち上がった。 「はい、はいっと。行ってきます~っ」 「“はい”は1回!」 「はぁいっ」 親を鬱陶しいと感じてしまうのは仕方ない。事実鬱陶しいから。 ――でも嫌いじゃないんだよね、と思う。 バタンと閉めた扉を少し、ほんの少しだけ名残惜しく感じた。  
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