#2 呪転

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  ――とりあえず、来たははいいものの…。 あたしは沈んでいた。 誰も居ない。 誰も来ない。 暗雲の所為か、飛ぶスズメやツバメすら居ない。 果てしなくつまらなかった。 キィ、キィ、 と公園内にぽつりと在る遊具のブランコに乗って、一人寂しく漕ぐ茶髪の小学6年生。 出て来なければよかったかな、と思い始めた頃には追い討ちをかけるかの如く、 「わひゃっ…冷たぁ!」 母の話を聞かなかった自分を呪う。ホントに降り始めちゃったよ、誰かサマのバカぁ!! ポタ、ポタ。 キィ、キィ、キィ。 雨降りの中でブランコを漕ぐあたしは、すぐに濡れ鼠のようになってしまった。  
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