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途中にリナ達がイチャついてイライラする休憩を挟みながら、店から店へと回った。
「ねぇ、次どこ行くー?」
「そだなー…じゃあ次はサカイ商店に行こうぜ!」
時間が経つのは速い。
チラリと時計を見た時には、いつの間にか2時を過ぎていた。
進む道の途中、川を正面に見据える市役所を通り抜けた。
学校が休みだったくらいだ、おそらく此所も休みなんだろう。
辺りはひっそりかんとしていた。
それ故にだろうか、衝撃はあまりにも突然で大き過ぎる。
――ッ!?
ちょうど駐車場を通った時に、『それ』があたし達の進行方向のど真ん中にユラリと立っていた。
皆、思考が停止する。
「……なんだ、あれ……?」
猿だろうか、否。
限り無く人に近い。
世界の全ての陰と醜さを集めて形にしたような――言葉では言い表せないそいつ。
それを見た途端にあたしは、人生初で最大かもしれない悪寒が背筋を貫いたのを感じた。
「……ゔぇ…………」
圧迫されたような感覚からか、唐突な吐き気が止まらない。
“異常過ぎる。”
ただ、その一言を思った。
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