#1 猿人

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  途中にリナ達がイチャついてイライラする休憩を挟みながら、店から店へと回った。 「ねぇ、次どこ行くー?」 「そだなー…じゃあ次はサカイ商店に行こうぜ!」 時間が経つのは速い。 チラリと時計を見た時には、いつの間にか2時を過ぎていた。 進む道の途中、川を正面に見据える市役所を通り抜けた。 学校が休みだったくらいだ、おそらく此所も休みなんだろう。 辺りはひっそりかんとしていた。 それ故にだろうか、衝撃はあまりにも突然で大き過ぎる。 ――ッ!? ちょうど駐車場を通った時に、『それ』があたし達の進行方向のど真ん中にユラリと立っていた。 皆、思考が停止する。 「……なんだ、あれ……?」 猿だろうか、否。 限り無く人に近い。 世界の全ての陰と醜さを集めて形にしたような――言葉では言い表せないそいつ。 それを見た途端にあたしは、人生初で最大かもしれない悪寒が背筋を貫いたのを感じた。 「……ゔぇ…………」 圧迫されたような感覚からか、唐突な吐き気が止まらない。 “異常過ぎる。” ただ、その一言を思った。  
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