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はぁ…しょうがない、諦めて準備するか。
オレは着替えようとクローゼットに向かい、扉を開けた。
だが扉を開けた瞬間
ピンポーン
とインターホンが鳴った。
ちなみに我家では、土日などにオレが一人で家にいることが多いので、インターホンが全ての部屋で聞こえるようになっている。
でもこんな時間に誰だ?
先輩にしては速すぎるし…
すると母さんが1階からオレを呼んだ。
「結祈ー、月乃ちゃんよー!」
せ、先輩!?
「うえぇ!? ちょ、ちょっと待って!」
はやっ!
てかなんで?
ほんの3分前に電話したばっかなのに…
って!
んな事考えてる場合じゃない!
待たせると何しだすか分かったもんじゃねぇ!
そんなわけでオレはマッハで着替えてすぐに玄関に向かった。
玄関に行くと本当に先輩が立っていた。
なんで!?
ル〇ラ?
「先輩! 何でもういるんですか!?」
と聞くと、先輩はニヤッと笑って。
「ん? あぁ、実はこの家の前から電話してた」
あぁ…そっか、そうきたか。
でも…
「先輩、オレが行かなかったらどーしたんですか?」
ここから先輩の家までは2キロ弱。
さらに先輩は自転車をもってない、なので歩きで来るしかない。
どんなに急いでも40分はかかるはずだ。
つまりオレが行かなかったら完全に無駄足。
「あぁ、その辺は抜かり無い。結祈は最後にはぜったい折れるから」
くぅっ。
実際そうなだけに言い返せん…
ただ、オレにも意地がある。
って訳でささやかな反論。
「脅したのは誰だっけなー?」
と、ちょっと皮肉っぽく先輩を睨んでみた、が。
「妄想だろ?」
と、あっさり流され。
さらに、
「先輩です!」
「さぁ! それじゃゴーストウォッチングに行くぞ!」
と、もはや完全無視。
ちなみに先輩は、おー!ってな感じで腕を天に突き上げてやる気マックス。
一方オレは絶望に打ち拉がれ、四つんばいで頭を地に垂れている。
まさに天地人。
全力で使い所を間違えている気がするが気にしない、気にしたら負けだ。
これ以上負けてたまるか…
とか自暴自棄になってわけ分からん事を考えていたら、先輩がオレの手を見ながら
「ん? お前、ライトは?」
と聞いてきた。
そういえばあわてて降りて来たから部屋に置いたまんまだ。
「すいません、とって来るんで待っててください」
「ん。じゃ、外にいる」
オレは先輩が出ていったのを確認し、急いで部屋に戻ろうと階段を駆け上がった。
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