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なぁ、いきなりだけど魔法とか幽霊、UFOなんて信じてる?
聞いといて悪いけど、オレは信じていないんだ。
いたら面白いんだろーなぁ、ぐらいにしか思ってない。
だって、オレはそんなモン見たことないし、実際に見えるって人も知り合いにいない。
だからゾンビも吸血鬼もツチノコも、呪いのマスクやマジカル☆ステッキもありえねぇ……非現実的なものなんて、一部の人間の勝手な妄想と無い物強請(ネダ)りの好奇心とで成り立ってるんだって思ってる。
だから、同じ高校の先輩と二人で、夜中に、近所の山に、幽霊を探しに行った時だって……そんなモン出るわけないって思ってた。
とまぁ、なんか過去形チックで話してるんだけど……実は現在進行形で、先輩曰く『ゴーストウォッチング』の真っ最中。
正直、その非常識さに涙が出そうだった。
つーか今まさに出た、洩れた。
まぁ、そんなこんなで(どんなこんなだ?)、オレは今、先輩と二人で近所の山に来ている。
正確には、近所の山の登山道、その中腹あたりの少し開けた空間に立っている。
並んで、直立不動。
何故か、不動。
何故か……それは、数歩前を歩いていたオレが、急に立ち止まったからである。
ならば次は、何故立ち止まったか……なの、だが――
それに関しては、なかなか言葉が見つからない。
……取り敢えずもう一度言っておくと、オレは魔法とか幽霊とか、そういったノン一般常識の類は信じてない。
ありえない、えなりか○きを初見で二十代だと思えるぐらいあり得ない。
夢だ、幻だ、妄想だ。
その筈だ、その筈なのだ、その筈…なのに……
今オレの目の前には、ぼんやりと光を放つ“子供の姿をした何か”が宙に浮かんでいた――
「――――っ!!?」
驚いた。
そりゃあもう存分に、だけど悲鳴は押し殺し、無言で驚嘆驚愕戦々驚々した。
漢の中の漢であるオレは、この程度のことじゃあ声なんか上げないのさっ――と言うわけでは勿論無い。
そもそも戦々驚々などという新語を生み出している時点で、もはや中身はパニック寸前。
漢の中の漢には程遠い、オレん家から田中くん家ぐらい遠い。
……んん、まぁ、要するに。
あまりにもビックリし過ぎて、声を上げることすらできなかっただけである。
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