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連ね 2
プラットホームを冷たい風が吹き抜ける
電光掲示板と時計とを見比べた僕が、
もうすぐ電車が来るね
と呟くと、君はこちらに視線を合わせないまま小さくうなづいた
今にも雪が降りそうな灰色の空
君と過ごす最後の日は、
どこまでも無彩色だった
愛してほしいと言ったら
君は僕から離れていくんだろう
その前に、君を殺してしまおう、か
ありがちな、ほんの些細な不幸に見舞われた少女がいました
すると少女は突然に
「私は悲劇のヒロインだわ」
と、叫びました
すると周りでそれを聞いた人々は
「君は喜劇のヒロインだ」
と、嘲笑(わら)いながら言いました
僕はなんて愚かだろう
八方美人だなんて出来もしないのに、そんなフリをして振る舞った
だから今、窮地に立たされているのだ
だから頼れる存在も居ないのだ
ああ、これは、嘘を吐いた罰なのか
私はただ平穏に生きたかっただけなのに…
少女の声は震えていた
目の前の兵士はそれをを聞いていたが、抜けるようにしてその声を聞き流す
そして力任せに剣を振り下ろした
少女の呟きは誰に届くわけでなく、虚しく消えていったのだった
望む事は罪なのだろうか
愛する人の傍らで生きたい、たったそれだけの願いだというのに
簡単なように思えるその望みさえ叶うことなく、私の命は消えようとしている
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