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カレンは皆を集めると巻物に現れた言葉を見せた。彼女は声に出して読んでみる。それは古い文体の詩のようだった。
「宝を帯びたるは三人の王
一つ
大空翔ける狩人の首領
輝く冠を頂きけり
二つ
誇り高き騎士の主導者
古びし冠を頂きけり
三つ
最後は呪われし忘却の主
朽ちた冠を頂きけり」
そして、カレンは賢者メイに宣告された恐るべき真実を告白した。皆の驚く顔が見えるようでいたたまれぬカレンは打ちのめされたように俯いた。
「あんたが英雄の転生だって?」
「そうなのか……」
カレンは口々に皆がそう言うのを聞くと何もかもが嫌になって喚き散らした。
「わたしに何が出来るの?ジェンみたいに大軍を率いて敵を殺しまくればいいわけ?そんなことできないよ。何でわたし……」
バーバラはいつになく厳しい顔で取り乱すカレンを見据えていた。彼女も信じがたい告白に耳を疑うばかりである。
「あたし達も信じられないし、そんなこと出来ないと思ってるよ。でもね、あたしとエリックには剣が抜けなかった。あんたには抜けた。あんたはそれだけの大切な何かを持ってるんだ。
神とか言う何とかさんがあんたを選んだんだよ。それだけの何かがあんたにはあるのさ。運命に流されて行けばいいんだろう?そうすればどうにかなるさ」
カレンは彼女の言葉で決意を得た。わけが分からないうちに放り出されたのは腹立たしいが、かと言って文句を言ってばかりでは始まらない。
「うん。わたし、頑張るよ。運命に流されて行けばいいんだもの。きっとどうにかなるよね」
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