別れ、新たなる旅路

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 カレンは決然とほうり出しかけた剣を鞘に収め、立ち上がった。心の中で剣が囁く。 (私はジェン、かつてのお前自身。運命に従え……さもなくば抗え……かつての私と同じく――) 「明日こそ島を出なくちゃ」 皆頷いた。もう十分体は休み、鈍り始めている。 「大空翔ける狩人の首領、きっと鳥人族のことさ。密林の奥地に住む凶暴な猛禽だよ」 「まずは大平原を越えて、タヒチ・ドーラに行くようだな。ライカ・ドーラで案内役を雇うしかない」  嬉しいことにウィーナがついてくることになった。大平原は砂漠の四半分に及ぶ広大な土地なので、島の人々は惜し気も無くあれもこれもと一行に持たせた。  ジーンはユニコーンのアリアと四頭の白馬を率いてやってきた。 「そいつらを連れていくのは無理だ。飛べなくなる」 エルメラスが抗議した。ジーンはどこ吹く風で馬達を魔法で眠らせた。馬達はみるみるうちに小さく縮み、小さな木彫りの子馬へと変わってしまった。彼は拾い上げて大事そうに小袋へ収める。 「さあ、行こうか」
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