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蛮族達は狼に身をやつして闇夜に消えていった。これで安心して眠ることができる。
「何で断るのを止めたんだ?」
エリックが焚火を掻き回しながら問うた。
「彼らに失礼だから。蛮族は出会いを未来の啓示として大切にする風習があるの。旅人に出会ったら取りあえず出来る限りの歓待をする。歓待と言うよりは拉致に近いけどね」
ウィーナはくすくす笑った。
「断ったらどうなるんだ?」
エルメラスが身体を横たえて質問した。
「侮辱されたと思われただろうね。蛮族と言うだけあって怒ると何をされるか分からないよ」
淡い残り火を囲んで横になった。地平線ぎりぎりまで広がる星空が鮮明に輝いている。目を閉じると聞こえるのは風の囁き、自分の鼓動のみ。いつしか全員深い眠りの中へとどこまでも、どこまでも落ちていった――。
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