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…ここはどこなんだろう?
振り返ると、彼女が一台の自転車を見つけた。
どう見ても、ボロボロに錆びてタイヤもパンクしてるみたい。
その自転車に彼女は手をかざし、
『昔へもどれ』と呟いた。…いや、念じたのかな。
自転車はみるみるうちに錆が消えて、輝き出した。パンクも直ったのか、綺麗になってる…!
彼女はその自転車に飛び乗り、走り出した。鼻歌を歌いながら。
彼女にどうぞ、と促され、あたしも少しだけその自転車に乗って走ってみた。
顔にあたる風が何だか心地よく感じた。いつもは忙しさに追われてこんな感じ、味わってる余裕もないことにそこで気が付いた。
そのまま自転車をやめ、彼女と街路樹のある遊歩道を歩きながら、ふわふわとしたしあわせを感じていた。
ふと、そんな時、彼女の気配が感じられなくなって辺りを見渡すとまた場所が変わって。
辺りは夕闇。
時間が経つのはあっという間なんだなぁ。なんだか少し寂しくなりながら…。
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