恋のフーガ

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恋のフーガ

シャワーから勢いよく出た水を、縁は頭から浴びた。 熱い湯だとすぐにのぼせてしまうし、夏は冷たい水のほうが涼しくなって気持ちいい。 身体が冷えてくるのを感じながら目を閉じると、新井のことが頭に浮かぶ。 ……強く言い過ぎちゃったかな。 血が上っていた頭も落ち着いてきて、徐々にさっきの新井に対しての自分の態度に後悔してきた。 そして、新井の言葉も思い出す。 もう、ゆかりちゃんに絡まないことにする。 じゃぁね、バイバイ。 「……俺、嫌われた…のかな」 口に出して呟くと、じわじわと胸に寂しさが込み上げてきて、縁は下唇を軽く噛んだ。 「…やっぱ、謝ろう。 ……っ、なんだってんだよ」 縁はシャワーを止めて急いでタオルで身体を拭いた。 新井を捜して、さっきのことを謝ってもう一回話したい。 一人の生徒をこんなに気にしてしまっていいのか、そう考えると躊躇いはあった。 今日はほっといて、来週学校で様子を見ようかとも考えたが、新井がちゃんと学校に来るか怪しいし、その時無視されるのかと思うと苦しい。 手早く服を着ると、縁は部屋を飛び出した。
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