個人授業

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風呂から出ると、縁はテレビを見ている新井を横目で見て、冷蔵庫からビールを取り出した。 「ゆかりちゃん、俺にも」 「馬鹿。ダメだって」 縁が笑って新井の隣に座ると、新井は口を尖らせてテレビに向き直った。 もう機嫌は直ったみたいだ。 縁はホッとして新井を見た。 「…新井。ケガ、大丈夫か?」 喧嘩で、ケガした、のか? そこまでは言わなかったが、 心臓がドキドキしているのを新井に悟られないように縁がきくと、 新井は簡易ギブスで固定された腕を上げてみせた。 「全然大丈夫。腫れもだいぶひいてるしさ」 「バイクで…事故ったんだよな」 「うん。友達のバイクに乗ってたらこけちゃってさぁ。めっちゃ怒られた」 そう言って新井は笑った。 ・・・やっぱ、新井じゃないよな。 縁は息をついて、缶ビールに口をつけた。
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