非行少年

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「ほれ」 部屋に入り灰皿を渡すと、新井は罰が悪そうに受け取った。 「…ゆかりちゃん、タバコ吸うの?」 「まーな。ヘビースモーカーってほどではないけど」 自分もタバコに火をつけると、縁は砂嵐になっているテレビのチャンネルを変えた。 「先生の家でビール飲んでタバコ吸うって、いいのかな」 新井がそう言って笑った。 「バカ。いいわけないだろうが。今日だけだからな、マジで」 「ありがと。優しいね、ゆかりちゃん」 聞こえなかったふりをして、縁はタバコを灰皿に潰すと、床に横になった。 「明日も学校だから、寝るぞ。新井、ベッド使っていいから」 「え、いいよ。俺が床で寝るよ」 「いいって。俺どこででも寝れるし」 「でも…」 「もう、黙って外に出たりすんなよ」 縁がそう言うと、新井は黙った。 「…ゆかりちゃん」 少しして、声をかけてみると、すでに縁は寝息をたてていた。 しゃがみこんで縁の寝顔を覗いても、縁は完全に爆睡していて全く反応しない。 新井はそっと縁を抱えて持ち上げると、ベッドに横にならせた。 「ん…」 布団をかぶせると、縁は寝返りをうって体を丸まらせた。 「ゆかりちゃん、無防備すぎ。…襲っちゃうぞ」 縁の隣に横になって、縁の頭を撫でると、笑みを浮かべて新井は目を閉じた。
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