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個人授業
「相田ー、朝倉ー、新井ー…新井!」
縁は新井の席まで行くと、眠っている新井の肩を揺すった。
「ん…ゆかりちゃん、あと5分…」
新井がそう言って顔を横に向けると、教室中にどっと笑いが起こった。
「…起きろっっ!」
顔を真っ赤にして縁が怒鳴ると、新井は体を起こして大きく欠伸をした。
新井が眠いのも無理はない。
今日は朝から職員会議があって、縁は休む、と言って動かない新井を無理矢理引っ張って7時に学校へ連れて行った。
新井はずっと保健室で寝ていたらしいが、二時間めの縁の授業にはちゃんと顔を出した。
「…で、次が教科書の…」
ふと新井を見ると、新井は眠たそうに首を揺らしていたが、縁の視線に気付くとぱっと顔を上げてにっこりと微笑んだ。
縁もふっと笑顔になって、教科書に顔を戻した。
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