あうあう

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あうあう

『志村縁先生、職員室までお願いします』 午前中の授業が終わると、校内放送で呼ばれて縁は職員室に向かった。 職員室に着くと、自分のデスクに座っていた西嶋が手招きをして縁を呼んだ。 「私が呼び出しました。志村先生、今忙しいですか?」 「いえ…特に」 本当はテスト問題の最終チェックがあるのだが、それは西嶋もわかっているだろうと思ってあえて言わなかった。 「そうですか。どうですか、新井は」 「あ…」 その件を忘れていたわけではないが、縁は言葉に困って頭を掻いた。 「・・・新井ではないみたいです。はっきり問い詰めたわけではないんですけど…」 モゴモゴと、声をこもらせて縁がそう言うと、西嶋はため息をついて頷いた。 「…わかりました。まあ、相手のケガも軽いようでそんなに大事にはならんでしょうが、新井は処分しなければならない。喧嘩を起こした場所も場所ですし。 あいつが白状したらすぐに報告してください」 「・・・はい…」 縁は小さく返事をすると、ぺこっと西嶋に頭を下げて自分の机に座った。 西嶋先生は、完全に新井がやったと思ってるんだ…。 もしかしたら本当に… いや、そんなわけない。 新井は、喧嘩なんてするようなやつじゃない。新井のこと、まだよくわかんないけど、きっとそうだ。 縁は頭を振って、机の上のプリントの山に手をつけた。
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