フクムシ

二・二匹目

あの人の会社を辞めて１ヶ月が経った…。

今も前と変わらず秘書を新しい会社でやっている…。

今の社長はとても若く優しく、信用出来る社長だ…。

『今日のスケジュールは？』

「今日は金沢株式会社と商談があります、三河社長…。」

三河社長はニコッと笑う。

僕が取り寄せ、家政婦に頼まず自分の手で大事に育てさせたフクムシの成虫という名の完璧な社長が…。

『あいつは何も知らずに死ねてよかったね…。自分の部下達によって殺されたなんて…。』

三河は部下のリストを見る。

みんな同じ会社を辞めてこの会社に勤めている社員の名前を…。