第2章

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廉は梨佳子が橋本に呼ばれてマンションから出てくる所を見ていた。 会社の前で梨佳子が橋本の車に乗って行くのを見た時から頭がパンクしそうなほどなのに、 「もう・・・限界かも」 ただ自分が出て行けば梨佳子が困るだろう。 そう思って車の中で黙って橋本が帰るのを待っていた。 橋本を見送ってマンションの中に入って行く梨佳子にスグには声をかけなかった。 「専務遅いな・・・」 ♪~♪~ 「山内です。 今どの辺ですか?」 「あっ 今下に着いたよ。」 「スグに下ります!!」 梨佳子は飛び跳ねるように廉の元に向かった。 廉は梨佳子の姿を見て助手席のドアを押し開け、何も知らない梨佳子は静かに廉の横に座った。 黙ったままの廉に・・・ 『いつものように怒ってくれたら気が楽なのに』 「あの・・・」 前を向いたままの廉に、 「今日はスミマセンでした。」 謝った。 「・・・。」 廉は何も言わずに気の抜けた笑顔で、梨佳子の手を握りしめた。 梨佳子の思い過ごしか・・・ 『今抱きしめられるかと思った。』 何か言いたそうなのに何も言わずに手を握り締めているだけの廉を見て、 『いつもなら頭ごなしに怒るのに、何か言ってっ』 息がつまりそう。 「あれからどこに?」 「ご飯は食べましたか?」 「・・・・・。」 「本当にスミマセン=З」 「今から行きませんか?お腹空いてるでしょ=З」 廉は梨佳子の顔を見て優しく笑う。 「いいよ 顔見に来ただけだから・・・」 「遅くにゴメン、もう部屋に入ってくれていいよ~」 握った手を離した。
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