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梨佳子は、まだ会社で仕事をしているであろう廉に電話をしてはいけないっ と自分に言い聞かせて、
「とりあえずお風呂に入ろう=3」
梨佳子がバスルームに行こうとしたら
♪~♪~
携帯電話の呼ぶ音が・・・
梨佳子は電話を飛びつくように取った。
「もしもしっ」
「久しぶり 橋本です。」
電話は橋本からだった。
「お久しぶりです」
梨佳子の声は心なしか低くなった。
「今日お母様からお詫びの電話をもらったんだけど ご両親にもう話したんだね。」
「ハイ。」
「僕は本当に待つつもりでいたんだけど、それすらもダメだったのかな」
梨佳子は心配している両親に黙っていられないと思って言ってしまった事で、また橋本を傷つける事になったのか・・・と申し訳ない気持ちになった。
「橋本さん スミマセン。会社も辞めて引越しもして、何も親に相談せず決めてしまって黙っている訳にもいかなくて」
「そうだよね」
「ゴメン・・・責めるつもりじゃなかったんだ。ただ僕は梨佳子さんにそんなに嫌われる様な事をしたかとショックで」
「いえっ、そんなんじゃないです。」
「私の方こそ自分勝手でゴメンナサイ。」
「新しい仕事はもう見つけたの?」
「いえっ まだです、少しゆっくりしてから探そうかと思ってます。」
「そう、何かあればいつでも相談にのるよっ」
「あっハイ。」
「じゃ、またね~」
『専務からだと思ったのに』
電話を切った梨佳子は、より一層からだの力が抜けた気分になった。
とぼとぼとバスルームに戻り、
お風呂に入っていたら何となく涙が出てきた。
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