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廉は突然の父の話に驚かされた。
「まっ 今までの仕事に何も変わりはないが、お前もしっかりやってるようだし」
「就任式の準備もさせておくから、お前もそのつもりで頑張れよ」
『社長って・・・実質仕事内容は今までと変わらなかったとしても、名前が変わると責任の重さが全く違う』
朝一の話にしては、あまりに突然であまりにへヴィな話だった。
梨佳子に会うまでの廉ならば、社長と言われたら大喜びだったかもしれないが、
今の廉には責任の重さと名前の大きさが際立って聞こえてくる。
廉の周りは社長就任の話があってから急に慌しくなって、また何日か梨佳子とも会えない日が続いた。
♪~♪~
(田畑 廉)
「もしもし どうしたんですか?」
「今日食事しようか?7時に迎えに行くから用意してて」
「時間できたんですか? だったら私がそちらに伺います。」
「じゃー6:30には終わるようにするから着いたら携帯に電話してっ」
『会える♪』
梨佳子は何日かの間、電話でしか話せなかったので、廉からの食事の誘いに慌ててシャワーを浴びスグに準備をした。
梨佳子は早めに会社の近くに到着し街中をブラブラ歩いた。
『そろそろ仕事も探さなくちゃな・・・』
一緒に仕事をしていた仲間達はまだ勤務時間中だと思うと、街中をブラブラ歩いている自分が少し嫌になった。
6:30
♪~♪~
梨佳子は6:30ちょうどに廉に電話をした。
「留守番電話サービス・・・・」
留守電につながった。
「梨佳子です、近くまで来ました」
会社の近所までは行けても、退社時間なだけにあまりに近くまでは行けない・・・
7:00
もう一度、廉の携帯を鳴らしてみる。
「留守番電話サービス・・・・」
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