第5章

14/118
前へ
/259ページ
次へ
廉は突然の父の話に驚かされた。 「まっ 今までの仕事に何も変わりはないが、お前もしっかりやってるようだし」 「就任式の準備もさせておくから、お前もそのつもりで頑張れよ」 『社長って・・・実質仕事内容は今までと変わらなかったとしても、名前が変わると責任の重さが全く違う』 朝一の話にしては、あまりに突然であまりにへヴィな話だった。 梨佳子に会うまでの廉ならば、社長と言われたら大喜びだったかもしれないが、 今の廉には責任の重さと名前の大きさが際立って聞こえてくる。 廉の周りは社長就任の話があってから急に慌しくなって、また何日か梨佳子とも会えない日が続いた。 ♪~♪~ (田畑 廉) 「もしもし どうしたんですか?」 「今日食事しようか?7時に迎えに行くから用意してて」 「時間できたんですか? だったら私がそちらに伺います。」 「じゃー6:30には終わるようにするから着いたら携帯に電話してっ」 『会える♪』 梨佳子は何日かの間、電話でしか話せなかったので、廉からの食事の誘いに慌ててシャワーを浴びスグに準備をした。 梨佳子は早めに会社の近くに到着し街中をブラブラ歩いた。 『そろそろ仕事も探さなくちゃな・・・』 一緒に仕事をしていた仲間達はまだ勤務時間中だと思うと、街中をブラブラ歩いている自分が少し嫌になった。 6:30 ♪~♪~ 梨佳子は6:30ちょうどに廉に電話をした。 「留守番電話サービス・・・・」 留守電につながった。 「梨佳子です、近くまで来ました」 会社の近所までは行けても、退社時間なだけにあまりに近くまでは行けない・・・ 7:00 もう一度、廉の携帯を鳴らしてみる。 「留守番電話サービス・・・・」
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8906人が本棚に入れています
本棚に追加