第1章

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廉は入口で軽く一礼をし、凛とした姿勢で社長の後ろを歩いて会議室に入って来た。 席の前に立ってもう一度一礼をして着席した。 自分の目の前の資料を見て、 『これは…』 用事を済ませて退室して行く梨佳子に目をやった。 梨佳子は席に戻って 『昨日の今日で大丈夫かな…』 ムカついて放っておきたいのに・・・・ やっぱり気になる。 そう思いつつ通常業務に戻った。 ♪~♪~ 「会議終わったから~片付け頼むな~」 廉のお披露目初舞台は無事終了した。 と秘書課長から報告があった。 「よかったぁ=3」 内心冷や冷やしていた梨佳子は、受話器を置くと同時に思わず小さい声で呟いた。 「あ~~~~疲れた=3」 ネクタイをわずらわしそうに緩めながら廉は秘書課に戻って来た。 梨佳子は何事もなかったように横を通りすぎる専務に目を向ける事もなく仕事の手を休めなかった。 「ハァ=3」 専務室に入った廉は外にまで聞こえてくるくらいの音を立ててソファーに倒れ込むように座った。 ウキウキ秘書は、ここぞとばかりに廉にコーヒーを持って専務室に入って行った。 ♪~♪~ 社長からの電話 梨佳子が社長室に呼ばれた。 「山内さん~廉をよく仕込んでおいてくれたね~役員達も満足していた様子だったよ!!私も鼻が高い~♪」 『本当に大変でした・・・とは口が裂けても言えない』 社長は廉の役者ぶりに大満足の様子だった。 梨佳子は社長にお褒めの言葉を頂いてホッとしていたら… 「専務の紹介も済んだ事だし、今度のゴルフコンペにも参加させようと思っているんだ、山内さん宜しく頼むな~」 『えっ~~~~またですかぁ~勘弁してください…』 梨佳子は心の声が聞こえてしまいそう=3 よく聞けば、廉はゴルフ経験がないとか… 社長のあまりの無謀さに驚いた。 『できる事とできない事があるでしょ=3』 梨佳子はボヤキながらもコンペに行くとなればそれなりにできなくては… と、コンペまでの一週間レッスンプロの手配をして、自分のスケジュールも一週間空けれるように段取りをした。
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