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がっしりと小型黒子風生命体が私の胸ぐらを掴んだ。
「…てめぇ、なめてんのか?」
…口調が完全にキンピラだ。
間違えた、チンピラだ。
「…人に迷惑かけたら謝るんが筋と違うか?コラ」
…そのくせ、言ってる事は正しいあたりムカつく。
「…な…もん」
「あ?」
私は大きく息を吸い込んで言った。
「あんた、人じゃないもん!!」
「なっ…!」
私は矢継ぎ早に続ける。
「あんた、さっきから人、人って!あんたは人じゃないでしょ!?悪魔でしょ!?Devilなんでしょ!?」
「悪魔には謝らなくていいってのか!?」
「そそそ、その通りよ!神の敵に対してなんで謝らなきゃいけないのよ!」
無茶苦茶な理由だ。
どっちが悪魔だか。
「お前、差別かこの野郎!」
「野郎じゃないもん!女の子だもん!」
「上げ足ばっかとってんじゃねえ!」
そう言う小型黒子風生命体は、私の胸ぐらを掴んで、私を少し持ち上げられる位まで飛んでいる。
つまり、両方上げ足だ。
「大体、お前格好以外女に見えねぇんだよ!髪は短け~し、胸も…」
言うと、目線を少し落とす小型黒子風生命体。
…あ…
胸ぐら捕まれてるから…
コイツからは胸が丸見え…
「…うわぁ…」
「ちょ、何気の毒そうな顔してんのよ!」
「…まさかそこまでとは…」
「ううう、うるさい!気にしてんだから!」
「悪い事したな…すまん、ペチャ子」
「誰がペチャ子だっ!!」
うぅぅ…
本気で傷つくぞぉ…
「いや…なんなら土下座する事もいとわないぞ、まな板娘」
「名称変換しても酷さ変わらず!」
「なんかもう…謝ってくれなくていいよ…」
「哀れんだ目で見るなっ!!」
くそぅ…
毎日牛乳飲んでるのに…
「お前…強く生きるんだぞ、世の中胸じゃない」
「そこまで絶望してない!」
「きっとそんな胸がいいって言ってくれるマニアな王子様が現れるさ」
「私はマニア限定の魅力しかないんかい!」
「挫けるな…いつか必ずそんなマニアが現れると信じろ」
「もう行っちゃえ!」
「あぁ…じゃあな、壁子」
「誰が壁かぁ!去れ、この悪魔ぁ~!!」
…うぅ…
自転車で轢いただけで、心に倍以上の傷を付けられたぁ…
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