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年老いた男性が、死の床に横たわっていた。余命数時間しかない彼は、
突然、チョコレートクッキーの匂いに気付いた。
彼は、チョコレートクッキーがこの世の何よりも好きだった。
最後の力を振りしぼり、ベッドから出て、部屋を横切り階段まで向かった。
そして階段を下り、台所の中へ入っていった。
そこでは、彼の妻がチョコレートクッキーを焼いていた。
つまみ食いをしようと手を伸ばすと、妻が手にした木製スプーンで
手の甲をピシャっと叩かれた。「取っちゃダメよ!」
彼女は言った。
「葬式用なんだから!」
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