俺と三坂家と

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ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。 俺は今無意識だ。 でも手は 不思議な事に『目覚まし時計を止める』って動作をすぐ覚えてしまうわけで、 カチャ。 それが良いことだと言えばどうなのか。 「はっ、ックョン!」 とりあえず11月の朝は寒い。 俺は布団からのっそりと出した上半身を、 目一杯使って伸びをする。 おまけの欠伸に入ってくる空気は今日も容赦なく冷たかった。 そして結局のところ、 (今日の目覚まし時計止め記録は七回だったか) ………………。 いや、だからどうしたと言われても困るんだけど、 まぁいいか。 今日が七回なら、明日は六回を目指せばいい話さ。 さてと、 起きようと軽く押し退けただけで、布団は幾つもの『ハウスダスト』という病原菌を 窓から差し込む朝日に乗せ、俺に見せた。 「ごほっ、ごほっ」 たまらずむせる。 (その内、血もまざって出てくるかな) なんて、悲観的な妄想に向かうのは朝だからだろうか? それとも今、だからだろうか (さっきの夢は嫌な……いや、いい夢だったのかな)
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