俺と三坂家と

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(まぁ……いいか) 「よいしょっと」 俺は寒さとダルさのせいで鉛のようになった足を、何とか布団から脱出させると、 寝巻きを脱ぎ制服を着るという動作を 心頭滅却を身に刻みながら、 ぎこちなくおこなう。 「にしても、今日はやけに寒いな」 なんていつもと同じ事を口にすると、 寒さの先には半開きの窓があることに気づく、 そしてバカみたいにそれを閉めるわけだ。 (そうか昨日は星を見たのか) なんて、自分を誤魔化す反省も、朝では長々と出来ないから 今は素直に、人のぬくもりの通わない廊下へ出る事にした。 俺の部屋は二階の隅に位置している。 そして今、俺の前には三つ部屋が見える。 それぞれ、父さん、母さん、奈美樹の部屋だ。 俺は眠気眼を擦りながら、軽くノックをし挨拶をした。 「おはよう奈美樹」 「……」 「おはよう父さん」 「…………」 「おはよう母さん」 「………………」 時間が無いことを理由にするのは卑怯なのかもしれないが、 俺は十分待ったと 温度の感覚のなくなった足が教えてくれるはずだ。 ここでただわかるとすれば、 コレでみんなの 俺無視生活はまた1日更新 ってことだけだな。
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