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それでもいつものように、
頑張って朝食を四人分作れば、充実感はあるもんだ。
ちなみに料理のスキルも上がるし、
でもぶっちゃけ、虚しさのスキルも上がっていくわけで、
だからお世辞にも、100%の愛情で料理しているなんて言えないのかもしれない。
100%じゃなきゃいけない事ぐらい分かっているのはずなのにさ……。
そして料理を置くのは決まって、ドアの前。
俺は呼吸を整え、いつも通りのハイテンションで突っ走る。
「はい奈美樹。朝ごはん!」
「……」
「はい母さん。朝ごはん!」
「…………」
「はい父さん。朝ごはん!」
「………………」
料理はもちろん、皆の好みに合わせた別メニューの、特別サービスだ。
「…………はぁ」
本当、たまには誰かに誉めてもらいたい。
せめて「ありがとう」と書かれた紙をドアの隙間からだしてもいいと思う。
とそんな時もある。
だからこそ、母の凄さには関心してしまう。朝食は一つの例だ。
(冷めないうちに食べてよ)
気持ちだけ料理に添えて階段を下る。
(さて、夕飯は何にするかと)
水の冷たさを少しでも和らげるよう。
自分の食器を洗いながらそう考える
これも、いつもの事。
最後の朝の週間は、玄関の扉を一度閉めてから、
五分程待ち、
もう一度開けてまたすぐに、しかも荒く閉める事。
これで俺のストレス発散と、
「誰かが入って来た!?」っていう不安と驚きとを同時思わせ、
部屋から三人を出させる!
――そんな、くだらない技だ。
もちろん成功なんかした事はない。
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